ライトな物書き♪
日向唯稀(&兎田颯太郎)
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0719

「樹季と士郎と新川先生」

休み時間のチャイムが鳴った。
数十秒後の四年二組前には、廊下の窓から中を覗く樹季の姿があった。

本人は士郎に気付かれないようにしているのかもしれないが、けっこうガン見だ。
窓側の席の子たちが対応に困っている。

それを見つけた士郎の担任・新川が、教室に出たところで声をかけた。

「何してるの? 樹季くん」
「士郎くんのこと見てるの。みっちゃんが士郎くんが大変だったらチクれって言ったから」
「……充功くんが?」
「すごいでしょう! これ僕にしかできない任務なんだよ! だって小学校には士郎くんと僕しかいないからね」

樹季の笑顔がキラキラだ。
これには新川も負けない笑顔で返すしかない。

「そうだね。でも、樹季くんにもお勉強やお友達と仲良くする時間がいるでしょう。そうだ! 先生も士郎くんを見る任務を手伝うから、樹季くんは放課後だけにしない?」
「え? 先生が手伝ってくれるの!」

「うん。だって樹季くんの先生やお友達が心配したら、今度は士郎くんが樹季くんを見に行くことになっちゃうからね。だから、樹季くんはサッカーの練習だけしっかり見ていてあげるといいよ」
「はい! わかりました。じゃあお願いします!」

樹季はスキップしそうな勢いで、自分の教室へ戻っていった。
すると、それを横目で見届けた士郎が席を立つ。
新川に声をかける。

「ありがとうございました。お手数をおかけして申し訳ありません」

声をかけてくれるように頼んだのは士郎自身だった。
樹季の使命感や気持ちはわかるが、毎日毎休み時間ごとにこられたのでは、落ち着かない。
樹季のクラスメイトも心配するだろう。
はりきっている樹季には申し訳ないが、三日も続くと「充功も余計なことを!」と、溜息しか出なかったからだ。

「謝らないで。樹季くんの担任の先生も、好きにさせてあげたいのはやまやまなんだけどって笑っていたから」
「――すみません」

いろいろ問題は起こるものの、士郎は「今年は自分も樹季も当たり年だ」と心から思う。
これで担任が円能寺だったら、間違いなく毎日疲労困憊だ。
場合によっては、担任のお世話係になりかねない――と。
しかし、そんな士郎の気持ちを酌みつつ、新川がニコリ。

「あ、でもあれだね。先生が手伝うより、もっと本当のことを言ったほうがよかったかな?」
「本当のこと?」
「慣れないことに頑張ってる士郎くんのことは、先生もお友達もみんなが見てるから大丈夫だよって」

士郎の目から見ても、最近の新川の笑顔は特に爽やかで無理がない。

「……はい。本当に、ありがとうございます」
「本当。円能寺先生だけなら、僕でもどうにかできるからね」
「それを聞いたら、元気が出ました」
「士郎くん」

――ああ。本当に気持ちがふっきれて、また過去の痛手が今の新川をいっそう強くしているのだなと感じられて、それが士郎も嬉しい。

「そっか。そうだね。なら、折角だから今だけサッカー部を楽しんで」
「はい」

しばらく樹季には秘密だな――と思いつつも。


━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
裏設その① こっそりDr.編
「士郎2」を読み終えてから――というよりは、Dr.シリーズも知らないと駄目か(>_<)

でも、まずはいろいろと網羅してくださっている
日向わ~るどの猛者様たちへ捧ぐ――ってことで

そのうちちょっとずつ、「士郎2」だけでもわかる「ちょい話」とかもアップしますので


━─━─━─━─━─
東都大学医学部付属病院
談話室にて――
━─━─━─━─━─

池田 「へー! それはすごいですね、息子さん。いや、本当。立派な成績だ!」

翔悟父 「そうかな」

黒河 「何、どうしたんだ?」

翔悟父 (……く、黒河だ!)

池田 「あ! 聞いてくれよ、黒河。先輩の一番下の息子さん。少年サッカーの都大会でベストエイトに入ったんだってよ」

黒河 「へー! それはすごいな。将来Jリーガーかな。楽しみですね。あ! これから試合とかあったら、遠慮なく応援に行ってあげて下さいね。俺、いつでも出勤を変わりますから」

翔悟父 (――て、天才黒河がすごいって言った。翔悟のことを、将来楽しみだって……。しかも、俺と出勤を変わる!? 日本の名医が〝最後に命を預けたいと思う同業者ランキング殿堂入り〟の黒河が!?)

黒河 「まあ。そうは言っても先輩が仕事熱心なのはわかってるんですけどね。でも、俺は孝行したいときには親はなしだったし。実際――、その逆も見てきてるでしょう。だから、できる限りと思って――」

翔悟父 「黒河……」

池田 「だよな! 俺もできる限り協力しますから。お子さんのために有給がほしいってときには、言ってくださいね!」

翔悟父 「ありがとう」



翔悟父  (孝行したいときには……か。そうだよな。今、育児に参加しなかったら……、どっちがどうなるのかも、わからないのに。俺は、それをずっとそれを見てきたはずなのに――。ここで、命の現場で――)



――ってことです。

引っ越しのきっかけはお前だ、黒河!

朱音ちゃんに知れたら、怒られそうですね(^^;)


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